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2008.09.01

投馬国 <邪馬台国までの道程>

【Podcasting】

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【邪馬台国】

西暦200年代(3世紀:弥生時代後期~古墳時代前期)に
小国ばかりだった倭国で30国を従えていたとされている国。
邪馬台国があったとされる根拠は、
中国の歴史書・『三国志』魏書東夷伝倭人条に残されています。

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【邪馬台国までの道程】

帯方郡→狗邪韓国
対馬国(對馬国)
一支国(一大国)
末盧国(末廬国)
伊都国
奴国
不弥国
投馬国
邪馬台国

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【魏志倭人伝(三国志・魏書東夷伝倭人条)より】

南の投馬国(つまこく)に水行20日で着く。
官を弥弥(みみ)、副を弥弥那利(みみなり)という。5万余戸ほどある。

南に邪馬台国がある。
女王の都があるところで、水行10日、陸行1月で着く。
・・・・7万余戸ほどある。

[引用:武光誠さんの著書「邪馬台国と大和朝廷」(平凡社新書)より]

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【投馬国の場所候補例】

福岡県:八女市・八女郡・筑後市の北半部一帯。
     (旧・上妻県[かみつやめのあがた/かみつまのあがた])
      ∟白鳥庫吉(しらとりくらきち/東洋史学者
        邪馬台国九州[北部九州]提唱者)による説。
長崎県:五島列島福江島
      ∟田中卓(たなかたかし/日本の歴史学者
        邪馬台国九州[山門郡]提唱者)による説。
熊本県:天草
      ∟宮崎康平(みやざきこうへい/古代史研究家・「まぼろしの邪馬台国」著者
        邪馬台国九州[島原]提唱者)による説。
宮崎県:西都市妻(都萬神社
      ∟本居宣長(もとおりのりなが/江戸時代日本の国学者
        邪馬台国九州[南部]提唱者)による説。
      ∟【参考】西都原古墳(さいとばるこふん) ※日本最大級の古墳群
鹿児島県:薩摩
      ∟【参考】設馬国の誤写との説あり。

山口県:防府市玉祖(ほうふし たまのおや)、玉祖神社
      ∟内藤湖南(ないとう こなん/東洋史学者/邪馬台国畿内説提唱者)による説。
島根県:出雲
      ∟【参考】荒神谷遺跡(こうじんだにいせき) ※銅剣の一箇所からの出土数最多
      ∟【参考】加茂岩倉遺跡(かもいわくらいせき) ※銅鐸の一箇所からの出土数最多
      ∟【参考】西谷墳墓群(にしだにふんぼぐん)
            ※四隅突出型(よすみとっしゅつがた)墳丘墓・山陰地方の特異な形
      ∟【参考】妻木晩田遺跡(むきばんだいせき) ※国内最大級の弥生集落遺跡
      ∟【参考】大和時代-奈良時代、大和から九州に行くには
            波がおだやかな瀬戸内海の航路が用いられていた。
            日本海航路は風や波が荒い。
      ∟【参考】「古事記」「日本書記」との結びつき。
      ∟【参考】出雲大社裏のスサノオを祀る摂社が素鵞神社(そがじんじゃ)で
            蘇我氏の拠点である飛鳥には出雲神が祀られている。
            飛鳥坐神社や加夜奈留美命神社の加夜奈留美命は出雲神。
            (朝鮮南部の伽耶[かや]とのツナガリも?)
      ∟【参考】「いずも」の「い」は接頭語なので「ずも」=「つま」と踏まえる説あり。
広島県:福山市鞆の浦(とものうら)
      ∟新井白石(あらいはくせき/江戸時代中期の武士・政治家・学者
        邪馬台国大和国(畿内)&九州[山門郡]提唱者)による説。
岡山県:倉敷市玉島、岡山市東片岡、吉備
      ∟【参考】楯築遺跡(たてつきいせき) ※国内最大級の墳丘墓
      ∟【参考】吉備は鉄の名産地でもある。
兵庫県:但馬

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【水行について】

「渡海」とは違い、陸地の沿岸にそって航行することを示す。

「不弥国」に至るまでの行程が里程でしめされているのに対し、
「投馬国」、および「邪馬台国」までの距離が日数で記載されているのは、
倭人伝が根拠とした史料が異なるためであったとする説が妥当のようである。

(佐伯有清[ありきよ]著「魏志倭人伝を読む(上)」より)

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【戸数について(1)】

「不弥国」までは「有・・・戸(家)」という表記法をとっているのに対し、
「投馬国」と「邪馬台国」のところは、「可・・・戸」となっていて、
ここでも里数と日数の表記の違いがあるのと同様に、
「投馬国」以前と以後とのもちいた史料が異なっていたらしいことをしめしている。

(佐伯有清[ありきよ]著「魏志倭人伝を読む(上)」より)

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【戸数について(2)】

岡田英弘氏は「魏志倭人伝」にみえる戸数を里程と同様に誇張されたものとみている。
かりに邪馬台国が後の大和国に相当する地域を範囲としていたとしても、
8世紀前半の状態を示す「律書残篇(りっしょざんぺん)」にみえる
大和国(含芳野監[よしのげん])の郷数は109であるから、
一郷50戸として5450戸に過ぎない。
かりに複合家族である郷戸一戸が3組の夫婦と子供(房戸)からなっていたとしても、
房戸約1万6千に過ぎない。
邪馬台国の戸数7万余はどうみても誇大な数字であり、
投馬国5万余戸も同様とみてよいだろう。
ただし里程の場合、諸国間の距離比がほぼ正しかったことからみて、
奴国2万余戸、投馬国5万余戸、邪馬台国7万余戸という絶対数は信拠し得ないとしても、
相対比に関してはかなりなところまで信頼し得る可能性があるように思われる。

(森田悌[やすし]著「邪馬台国とヤマト政権」より)

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【官名の「彌彌」について】

官名の「彌彌(みみ)」は、
天忍穂耳(あまのおしほみみ/天照大御神の息子・ニニギノミコトの親)
や手研耳(たぎしみみ/神武天皇の子)、神八井耳(かむやいみみ/神武天皇の子)、
神淳名川耳(かむぬなかわみみ/神武天皇の子・第2代目の天皇)などの「耳」と
同じものとする説があり、神名、人名の「耳(美美)」は尊称であるとする。
~『古事記』は、手研耳(たぎしみみ)を当(多)芸志美美(たぎしみみ)に作り、
「耳」を「美美」とする~

(佐伯有清[ありきよ]著「魏志倭人伝を読む(上)」より)

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【不弥国から邪馬台国までの里数】

帯方郡から女王国まで1万2千里。
帯方郡から不弥国まで1万700里。
よって、残りは1300里。

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【魏志倭人伝の行程表記部分について】

魏志倭人伝の帯方郡から伊都国までは魏略
に基づいて記され
伊都国から先は別資料を参考に記されているとの説あり。

水行部分については、帯方郡起点との説あり。

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【2007年-2008年8月までの気になる話題】

加茂岩倉遺跡の銅鐸が国宝に

国宝の銅剣に亀裂 古代出雲歴史博物館

築山遺跡で人面土器を発見
∟縄文時代晩期から弥生時代前期ごろ、出雲地方と東日本のつながり?

梅田萱峯遺跡で国内最古の墓上祭祀施設を確認
∟墳丘墓としては国内最古

矢野遺跡で彩文土器の破片が大量に出土
∟交易に瀬戸内海ルートと日本海ルート?

本州初の支石墓? 出雲の銅山跡で発見
∟朝鮮半島とダイレクトなつながり?

萩原2号墓で特殊な埋葬施設が出土
∟四国と大和とのつながり

伏原遺跡で五角形の竪穴式住居跡を発見
∟四国と日本海側とのつながり?

香川の巴形銅器、福岡で鋳造
∟弥生時代後期の福岡と香川のつながり

南蔵本遺跡の鍛冶場跡から切断鉄斧を発見
∟鉄の流通が遮断

垣内遺跡で兵庫県内最古の鉄器工房か
∟九州・四国から畿内方面に向けてのルート?

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【邪馬台国までの道程・各国レポート】

帯方郡→狗邪韓国
対馬国(對馬国)
一支国(一大国)
末盧国(末廬国)
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