天地開闢・国産み・黄泉の国 <古事記・日本書紀(2)>
【Podcasting】
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古事記物語 / 著・鈴木三重吉
世界ができたそもそものはじめ。まず天と地とができあがりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)とおっしゃる神さまが、天の上の高天原(たかまのはら)というところへお生まれになりました。そのつぎには高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、神産霊神(かみむすびのかみ)のお二方(ふたかた)がお生まれになりました。
そのときには、天も地もまだしっかり固(かた)まりきらないで、両方とも、ただ油を浮(う)かしたように、とろとろになって、くらげのように、ふわりふわりと浮かんでおりました。その中へ、ちょうどあしの芽(め)がはえ出るように、二人の神さまがお生まれになりました。
それからまたお二人、そのつぎには男神(おがみ)女神(めがみ)とお二人ずつ、八人の神さまが、つぎつぎにお生まれになった後に、伊弉諾神(いざなぎのかみ)と伊弉冉神(いざなみのかみ)とおっしゃる男神女神がお生まれになりました。
天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)はこのお二方の神さまをお召(め)しになって、
「あの、ふわふわしている地を固めて、日本の国を作りあげよ」
とおっしゃって、りっぱな矛(ほこ)を一ふりお授(さず)けになりました。
それでお二人は、さっそく、天(あめ)の浮橋(うきはし)という、雲の中に浮かんでいる橋の上へお出ましになって、いただいた矛(ほこ)でもって、下のとろとろしているところをかきまわして、さっとお引きあげになりますと、その矛の刃先(はさき)についた潮水(しおみず)が、ぽたぽたと下へおちて、それが固(かた)まって一つの小さな島になりました。
お二人はその島へおりていらしって、そこへ御殿(ごてん)をたててお住まいになりました。そして、まずいちばんさきに淡路島(あわじしま)をおこしらえになり、それから伊予(いよ)、讃岐(さぬき)、阿波(あわ)、土佐(とさ)とつづいた四国の島と、そのつぎには隠岐(おき)の島、それから、そのじぶん筑紫(つくし)といった今の九州と、壱岐(いき)、対島(つしま)、佐渡(さど)の三つの島をお作りになりました。そして、いちばんしまいに、とかげの形をした、いちばん大きな本州をおこしらえになって、それに大日本豊秋津島(おおやまととよあきつしま)というお名まえをおつけになりました。
これで、淡路の島からかぞえて、すっかりで八つの島ができました。ですからいちばんはじめには、日本のことを、大八島国(おおやしまぐに)と呼(よ)び、またの名を豊葦原水穂国(とよあしはらのみずほのくに)とも称(とな)えていました。
こうして、いよいよ国ができあがったので、お二人は、こんどはおおぜいの神さまをお生みになりました。それといっしょに、風の神や、海の神や、山の神や、野の神、川の神、火の神をもお生みになりました。ところがおいたわしいことには、伊弉冉神(いざなみのかみ)は、そのおしまいの火の神をお生みになるときに、おからだにおやけどをなすって、そのためにとうとうおかくれになりました。
伊弉諾神(いざなぎのかみ)は、
「ああ、わが妻の神よ、あの一人の子ゆえに、大事なおまえをなくするとは」とおっしゃって、それはそれはたいそうお嘆(なげ)きになりました。そして、お涙(なみだ)のうちに、やっと、女神のおなきがらを、出雲(いずも)の国と伯耆(ほうき)の国とのさかいにある比婆(ひば)の山にお葬(ほうむ)りになりました。
女神は、そこから、黄泉(よみ)の国という、死んだ人の行くまっくらな国へたっておしまいになりました。
伊弉諾神(いざなぎのかみ)は、そのあとで、さっそく十拳(とつか)の剣(つるぎ)という長い剣を引きぬいて、女神の災(わざわい)のもとになった火の神を、一うちに斬(き)り殺してしまいになりました。
しかし、神のおくやしみは、そんなことではお癒(い)えになるはずもありませんでした。神は、どうかしてもう一度、女神に会いたくおぼしめして、とうとうそのあとを追って、まっくらな黄泉(よみ)の国までお出かけになりました。
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【造化の三神】
・天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)
・神産霊神(かみむすびのかみ)
関連ページ
・四柱神社 造化の三神 <古事記散策>
・東京大神宮 造化の三神 <古事記散策>
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【国産み】
高千穂・夜神楽より
伊弉諾神(いざなぎのかみ)と伊弉冉神(いざなみのかみ)による舞。
関連地
・兵庫県・沼島
・兵庫県・おのころ島神社
・兵庫県・上立神岩
・京都府・天橋立
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【黄泉の国への入口】
島根県出雲市にて
島根県出雲市にて
島根県出雲市にて
猪目洞窟遺跡・案内板より
この洞窟遺跡は、1948(昭和23)年に
漁船の船置場として利用するため
入口の堆積土を取り除いた時に発見されたものです。
凝灰岩の絶崖にできたこの洞窟は、東に向かって開口しており
幅30m,奥行き30mあります。
この遺跡は、縄文時代中期の土器片も少量採集されていますが
弥生時代以降、古墳時代後期まで(2,300~1,400年前)の
埋葬と生活の遺跡としては人骨が13体以上見つかっており、
特に注目されるものとしては
南海産のゴホウラ製貝輪(かいわ)をはめた弥生時代の人骨や
舟材を使った木棺墓(もっかんぼ)に葬られた古墳時代の人骨、
稲籾(いなもみ)入りの須恵器(すえき)を副葬した人骨などがあります。
生活の遺跡としては、各種木製品、土器、骨角器などの道具や
食料の残滓と思われる貝類、獣骨、鳥骨、魚骨、木の実など
また多量の灰などがあります。
発見当時、大社考古学会により調査が行われた関係から
出土品は現在、大社町の
史跡猪目洞窟遺物包含層出土品収蔵庫で保管されています。
(出雲市・出雲市教育委員会)
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【古事記・日本書紀 Podcasting】
(1)概要紹介
(2)天地開闢・国産み・黄泉の国
(3)黄泉の国・天照大神の誕生
(4)天の岩屋
(5)八岐大蛇
(6)スサノオノミコトと牛頭天王、蘇民将来
(7)因幡の白兎 八上姫
(8)根堅国 須勢理媛
(9)大国主神の国づくり
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