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2009.03.08

倭国について(2) 髪、衣服、繊維

【Podcasting】

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▼魏志倭人伝(三国志・魏書東夷伝倭人条)より

男たちは皆、髪をたばね木綿を頭に巻き
横幅の広い布を縫わずに体へ巻きつけ服にしている。

女たちは髪をたばねて頭の上に折りまげ、のせている。
その着物は、一枚の布の真ん中に穴をあけ、そこから頭を出して着る。

稲、麻類(紵麻=苧麻[からむし])を植え、くわをつくり、蚕を飼って糸をつむぎ、
麻布や絹、そのほかを織る。

[参考文献]
・石原道博さん編訳「新訂 魏志倭人伝 他三篇」(論創社)
・斎藤忠さんの著書「日本人はどこから来たか」(講談社学術文庫)より
・武光誠さんの著書「邪馬台国と卑弥呼の事典」(平凡社新書)より
・Wikipedia


頭に巻いていた木綿は木緜(ゆふ)と記され
楮(こうぞ)等の樹皮をはぎ、繊維を糸として布に織ったものと考えられ
当時は現在のように<木綿=コットン>と限られた意味ではなかった。

古代の衣のはなし・徳島県埋蔵文化財センター


弥生時代の男性の服を袈裟衣(けさい)、
女性の服を貫頭衣(かんとうい)ということもある。

袈裟衣と貫頭衣は東南アジアを中心に分布。
フィリピン→台湾→沖縄→倭国へと伝わったという説あり。
貫頭衣は今でも東南アジアの一部に残っている。
現在の貫頭衣 by Google検索


▼豆メモ
大袈裟とは


弥生人の衣装
風俗博物館
図解古代史(成美堂出版)より


弥生人の服(貫頭衣)を復元 / 板付遺跡弥生館


織物片のなかには、日本茜や貝紫(かいむらさき)による
染色がなされているものが確認された。
写真は復元された「弥生時代上層人の衣装」
図録「弥生時代の吉野ヶ里」より


復元:貝紫で染色した布・糸
図録「弥生時代の吉野ヶ里」より


貝紫を採取したアカニシと染めた布(参考品)
唐古・鍵考古学ミュージアムにて


朱の付着がみられる織りが繊細な透目(とうめ)の絹
弥生時代中期
図録「弥生時代の吉野ヶ里」より


左:縫い針、右:麻縄
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム 展示図録」より

唐古・鍵遺跡では、主に大麻を利用して糸の製作が行われた。
糸を撚る(よる)道具として、紡錘車が知られており、
回転を利用して均質な糸を撚ることができた。


糸を撚る(よる)紡錘車(ぼうすいしゃ)
弥生時代中期
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム ミュージアムコレクションVol.1」より

写真は鹿角の根元を輪切りにし、薄く丁寧に磨き上げた
精巧な仕上げが施された紡錘車。


糸を撚る(よる)道具と糸巻き
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム 展示図録」より


機を織る道具
上:布巻具、下:緯打具(よこうちぐ)
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム 展示図録」より


機織り(はたおり)の風景
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム 展示図録」より

弥生時代には、大陸から機織り技術が伝わった。
唐古・鍵遺跡で出土した布切れには、二本の糸をあわせて撚る
「併糸(あわせいと)」という技術がみられ、織りはたいへん細密である。
併糸は平絹にみられる技術でもある。


大麻製の布切れ
弥生時代中期
図録「唐古・鍵考古学ミュージアム ミュージアムコレクションVol.1」より

偶然に火を受け炭化したため、原形を保った状態で出土。
織りが細密で、経糸(たていと)や緯糸(よこいと)の一部に
併糸(あわせいと)がみられることから、当時の布としては高級品であると見られる。


甕棺から、人骨、イモガイ製腕輪と共に検出された絹、大麻片
弥生時代後期初頭
図録「弥生時代の吉野ヶ里」より


縫い目の残る絹織物
弥生時代中期
図録「弥生時代の吉野ヶ里」より


巾着状絹製品
図録「ヤマト王権はいかにして始まったか」より

纏向遺跡で唯一の絹製品。
巾着は平織りの絹の布で物を包んだ後、口部分は糸は束ねて
僅かにねじっただけの撚りのかかっていない紐で結んでいる。
大きさは高さ3.4cm、厚みは2.4cm、内部に何が納められているかを
調べるためX線撮影を行ったが反応は少なく、金属質のものではなく
有機質の物が包まれている事以外はよく解っていない。


佐賀県・吉野ヶ里遺跡の織物


JANJAN
からむし織の機音

福島県昭和村 からむし織


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