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2009.07.07

放射性炭素年代測定法の信頼性

放射性炭素年代測定法を使って
箸墓(はしはか)古墳(奈良県桜井市)の築造を240~260年とした
国立歴史民俗博物館(歴博、千葉県佐倉市)の研究結果が
各マスコミで大々的に取り上げられた。
古代史上最大の謎、邪馬台国の所在地問題に直結するためだが、
その報道のありようには一考の余地がある。

同測定法は自然界に一定の比率で存在する放射性炭素(炭素14)を利用する。
生物は死後、炭素を取り込まなくなり、年を経るごとに炭素14の濃度が低下。
その濃度を測定することで、生物が死んだ絶対的な年代を特定する。
が、年代ごとの濃度は一定ではないため、
年代が確実な試料の炭素濃度データを蓄積したグラフ(較正(こうせい)曲線)を作成、
それに照合することで年代を特定する。
もちろん較正曲線に誤りがあれば、導き出された年代を間違えることになる。

同測定法が注目されたのは平成15年5月、
歴博が行った文部科学省での発表だった。
弥生時代早期の土器の付着物を測定した結果、
弥生時代の開始時期は定説である紀元前5世紀を
500年さかのぼる紀元前10世紀と発表した。

その発表を現場で取材し、まず疑問に思ったのは鉄の問題だった。
日本最古とされる福岡・曲(まが)り田遺跡出土の鉄斧(てっぷ)は
弥生早期の地層から出土したとされ、歴博の発表通りとすると、
中国・西周時代にすでに日本に鉄製品が存在したことになる。
鉄斧は鋳造とみられ、中国で鋳造の鉄が流通するのは
西周、春秋に続く戦国時代(前403~前221年)とされる。
中国より先に日本に鉄製品があったというのは説明がつかない。

歴博側はその後、曲り田遺跡の鉄斧の出土報告に
疑問があると主張しているが、論争に決着がついたわけではない。
さらに、九州大学の研究チームが曲り田遺跡の弥生早期の地層から出土した
シカの骨を同測定法で測定した結果、
紀元前600年ごろと発表、歴博側との隔たりは大きい。

今回の発表は、箸墓古墳の周濠(しゅうごう)から出土した
土器付着のススを測定した結果で、
中国の史書・魏志倭人(ぎしわじん)伝に記された
邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)の死亡時期(248年ごろ)がその範囲に入り、
歴博側は「箸墓古墳は卑弥呼の墓が確定的」とまで明言した。
確かに最近の考古学の研究成果に近い結果であるのは間違いない。
が、弥生の開始時期問題もまだ、歴博説が定説となっているわけではない。
重要な物差しである可能性はあるが、
報道に当たってはなお、慎重さが求められる。

(大阪編集長 上坂徹)

◎産経新聞 2009年7月1日
  http://sankei.jp.msn.com/...

◎Google検索「放射性炭素年代測定法」
  http://www.google.com/...

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